はじめに
オープンリールとは,1/4インチ(約6ミリ)のテープを使用するアナログの音声録音機の事です。家庭用としては,カセットテープが普及する前の1960年代,また,ハイファイ録音用として1970年代まで使用されていました。業務用としては,現在でも使用しているところもあると思います。オープンリールと一口にいっても,いろいろな規格があります。テープの幅だけをとってもいろいろありますが,ここでは,最初に述べた1/4インチ(約6ミリ)に絞って,テープスピード,トラック,リールサイズなどについてご紹介します。
リールサイズ
10号、7号、5号,3号があります。10号は中心部分にアダプターが必要です。レコードのドーナッツ盤のような感じですね。3号は小型テープレコーダーに用いられました。これら以外にもさらに小さいサイズや中間のサイズ,大きいサイズもあったようです。
テープスピード
テープスピードには,76cm/s,38cm/s,19cm/s,9.5cm/s,4.8cm/s,2.4cm/sなどがあり,たいてい,数種類を選択できるようになっています。テープスピードが早い程良い特性となります。「XXcm/s」の様に記述します,cm/sとは1秒間に何センチテープが進むかという事を表します。
- 業務用:放送局では...通常は19cm/sを使用し、特に音質を重視したい場合は38cm/sを使用するなど,使い分けます。
- 業務用:レコード会社では...通常は38cm/sを使用し、特に音質を重視したい場合は76cm/sを使用するなど,使い分けます。
- 家庭用としては...標準的なスピードは9.5cm/s,ハイファイ用としては19cm/sまたはそれ以上,小型テープレコーダー用としては4.8cm/sが使用された様です。
- その他に、2.4cm/sという速度もヨーロッパの一部のテープレコーダーで存在したようです。
テープの厚さ
50μ,35μなどがあります。50μが標準的な厚さです。テープの厚さが薄くなれば同じリールに沢山テープがまけるため,3号リールを使用する小型テープレコーダー等にはさらに薄いテープも存在しました。標準の50μを100%として,同じリールに巻けば次のように長時間の録音が可能となります。25μのものは50μのものの1.5倍の時間録音できます。
- 100% 50μ スタンダード
- 150% 35μ ロング
- 200% 25μ ダブル
- 300% 18μ トリプル
トラック
トラックとは音声を記録する部分の事です。幅が広い程,特性はよいです。モノラルでは1トラック,ステレオでは2トラック使用しますが,カセットテープのA面,B面があるようにオープンリールにも往復が使用できる規格があります。
- フルトラック(1トラック)...テープの全面にモノラル録音する規格です。もっとも最初にできたものです。
- 2トラックステレオ...テープの上に左チャンネル,下に右チャンネルでステレオ録音する形式です。
- ダブルトラック(2トラック)...テープを上下にわけて,半分ずつモノラル録音する形式です。A面で上半分を,B面でした半分を使用します。家庭用のモノラルテープレコーダーはこの形式でした。
- 4トラックステレオ...テープを4つにわけ,1,3トラック目に,A面のステレオ録音,2,4トラック目にB面のステレオ録音をします。家庭用のステレオテープデッキはこの形式が多かったです。
- 4トラック4チャンネル...4チャンネル前のスピーカ2チャンネルと後ろのスピーカー2チャンネルを録音する形式です。
- その他...特種用途用に多トラックのものも存在しました。